akaritaguchi

25歳。インスタグラムは体裁でツイッターは軽率です。語尾がバラバラですみません

『ちょっと思い出しただけ』をみたよ〜〜

愛という言葉は軽々しく使えるからこそ恐れる人もいるけど私はやっぱり他人に愛を伝えたいし愛してるよってすぐに口にしてしまう。それはなんだか軽薄なようで負い目を感じる時もあって。「愛は逃げ道」と言ったのが自分の行動に対して間違っていないことのようにも言ってくれた気がして ほんのり心が潤った

 

誰しもの日々の生活に寄り添うような映画 あまり得意ではないのだけどなんでかこの映画はすきだったな

それは多分 当人たちによる全てを説明するようなナレーションが入らない為に 鑑賞者に想像を預けてくれるような余白があるからで

でも真実とは違う明確な事実が見えてきて 頭が痛くなることもない ファンタジーではない時間の逆行感を確認することができる

しかも今の今(制作時の2021年)から6年間を遡り切り取っている。将来教科書にも載るようなこの世界の大転換期をすくいとっているからこそその心意気に共感したくなるんだろうな

個人的にこういう類の映画を観た後に感じる わたしたちの日常に近いはずなのに置いてけぼりにされる気持ち悪さが無くて帰路につく歩を進めるのが少しもどかしく 上手な歩き方を知らない幼児のようだった

恋愛以外でも ちょっと思い出してしまうようなことは沢山あって それのほとんどが現在に意味を成していないように感じてしまう。過去があるから今があると某人は言い わたしはそれを鼻で笑ってしまうような冷めた人間だけど ちょっとその人の言うことを信じても良いな なんて考えたりした

池松壮亮が「あの頃を振り返るようなこういう映画は他にも沢山あるけどそれとどう差別化を図れるかと常に考えていた」と言っていたけれど正にそれを証明できていたのではないかと思う

ただ少し カレンダーの使い方とかカメラの回し方に違和感があって 作り手の伝えたいことはもっとあったように感じて

深くをキャッチ出来ない自分の未熟さに悔しさが残るからもう一度見たいななんて思ったり

 

高円寺も横浜も夏もクリープハイプ

割と多数の人間が通ってきた思い出の道で 各々がそれぞれを思い出してしまうんだろうな なんて数時間経つとやっと客観視できたりする

タクシーだって そこには出会いがあってすぐに別れがあるからなんだか浪漫があるよね。タクシーにそれぞれの人生を重ねるような比喩をちょくちょく見かけるけどわたしはその表現がすきだ

 

照生が現在の生業に覚悟を決めた2年前の表情がいちばん印象的だったな グッときてほろっと心が剥がれたように感じられた

 

葉ちゃんは強くて優しくて自分の気持ちをすぐ言葉に出しちゃって わたしにはできないことを息をするようにするもんだからすごくかっこよくて

こんな人にわたしだってなりたかったなと少し悔しくなった

 

わたしは今日が誕生日だったとしても他人から聞かれたら「昨日です」ってつい嘘をついてしまうようなタイプの人間だから

 

振り返る進行をするからどんなラストにするんだろうと思ったけど具合の悪い終わり方はしていなくて安心した

舞台挨拶で池松壮亮が何度も「夜明け」という言葉を口にしていたけど毎年の誕生日にもラストシーンにもそこが印象的に使われていていい

何年か経って照生くんたちくらいの年齢になったらもう一度見たい

 

わたしの言葉なんかでは表せないけれどキラキラと埃っぽさのどちらをも併せ持つ素敵な映画だと思う