akaritaguchi

25歳。インスタグラムは体裁でツイッターは軽率です。語尾がバラバラですみません

『キネマの神様』

松竹映画100周年記念作品。主演予定の方の死去、2度の公開延期などを経てやっと世の中が受け取ることのできた映画。

いろいろな愛のかたちがあって でもその中で恋愛は異質だなと感じました。家族への愛とか友人への愛とかそれこそ文化への愛とか様々あるけれど恋をした相手への愛が色濃く描かれているようなあくまでも沢田研二が主演の映画だと思う。その分撮影所時代のゴウたちをもっと見たい気もしたけれど 全て言い切らないところが出水宏の撮り方だったからかな。

恋愛で結ばれた関係は脆くて儚くてちょっとしたきっかけで壊れちゃうんだろうけど他のかたちとは明らかに原因も目的も異なっていて不思議だな と。桂園子の「行っても後悔するだろうし行かなくても後悔する」というような台詞にはハッとさせられたなあ。私はいつでも無意識に難解な道を消して楽な方を選ぶし、それに後悔したこともないけれど、ちょっとだけ決断を待って客観視する時間をつくっても良いかもしれない。

そしてやっぱり菅田将暉が目でする演技がとてつもなくすきだ。キラキラさせて感情を高ぶらせたり影って本音を隠したり全ての光をシャットアウトして真っ暗な瞳にしたり。台詞の言い回しより表情で演技をするから直接脳に響く。そんなところが評価されてるのかなと 勝手ながら 憶測です。

エンドロールの「うたかた歌」までがひとつの映画として機能しているように感じました。音楽だけを聞いた時は少し纏めて言いすぎているような気もしていたけれど、映画の後に落とされるとひとつひとつの言葉がひとつひとつのシーンに繋ぎ止められて役割を全うされていました。野田洋次郎は日本の宝ですね。

志村けんさんのご冥福をあらためてお祈りして終わりにいたします。